アトリエヨウコ

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えらぶ

 

わたし

 

ずうっと

 

この世には

 

蜜柑の木しかない

 

そして蜜柑の実がなり

 

その蜜柑を食べるのが当たり前だと思っていた

 

だけどある時

 

林檎の木があるって知った時

 

林檎?なんか氣になる!

 

食べたい!

 

だけどお店には傍目ツヤツヤでキレイだけど

 

ヒトの手で不要とも言える施しを受けた林檎しかない

 

だけどそれを控えた林檎

 

もしくはその施しをしていない地にある林檎が食べたい

 

そんなわたしは施しを控えている林檎を取り寄せたあと

 

芯とタネを取り

 

ほんの少し水分を足しながらリンゴジュースに施し

 

林檎そのものの果実の味を愉しみ味わっていた

 

この列島で施しを受けない林檎がお眼にかかれるのはほとんどない

 

だけどやっぱりいつでも林檎食べたいし

 

何より不必要な施しを受けていない林檎食べたい

 

そう考えていたある日のこと

 

わたしの眼の前に選択肢が提示された

 

今存在している蜜柑の木から林檎の木に植え替える

 

蜜柑の木の隣に林檎の木を植える

 

ただしその時林檎が食べたくなった時は

 

実がなるまでは林檎を取り寄せる

 

わたしは驚いた

 

蜜柑の木しかない

 

わたしのそばには蜜柑の木しか存在してはいけないと思っていたのに

 

こんな選択肢があったなんてと

 

でも願ってもないチャンスにどちらを選ぼうかと思案する

 

だけどせっかく産まれる前から存在する

 

美味しい実のなる蜜柑の木を植え替える

 

なんてもったいない

 

多少待っても

 

そしてその間

 

取り寄せても構わないから

 

今いる地にある蜜柑の木の隣に林檎の木を植えるかな?

 

そうしたら数年後

 

どちらも愉しむことができる

 

衣をその日の氣分によって選ぶかのように

 

それじゃあわたし

 

二つ目の選択肢を選びます!といい

 

その林檎の苗木を受け取ろうとした瞬間

 

ポキン!

 

一つしかない

 

か細い林檎の苗木は折れてしまった

 

それを見たわたしは

 

どうしよう!でも枝は折れても根は残ってるから大丈夫か…と思い直し

 

改めてその苗木をそっと持ち上げるも

 

根はカサカサに乾燥していたせいか

 

ポロポロと脚元に落ちてしまう

 

わたしはなぜ

 

自身で選んだのにそれを選ばせないのかのようなこの現象は一体なんなのだ?と思い悩みながらも

 

選んだ以上は変えることはできないと諦め

 

その苗木を持ち帰ろうと

 

今きた路に向けくるりと振り返ろうとしたそのとき

 

ふわりとほのかに甘酸っぱい香りがする

 

わたしはすぐさま

 

これは林檎の香りだ!と香りのする地へ向かおうとする

 

すると

 

ワタクシを置いていくの?

 

ワタクシ…まだまだ美味しく実がなるよ?

 

ワタクシ…あなたがいないと実がなることができないよぉ

 

 

これまで愛でそして豊かな実を愉しみ味わっていた存在から声がする

 

わたしはその声に

 

そうだ…この蜜柑もこれまで美味しく味わっていた

 

これまで通り蜜柑もいただきながら林檎も取り寄せたほうがいい

 

と思い直し蜜柑の木のある場へ振り向こうとすると

 

さらに甘酸っぱい林檎の香りが風に乗りワタクシの心身を包み込む

 

その香りはこれまで感じたことのなく

 

そして新たな選択を後押ししてくれるかのような力強くも優しい雰囲氣

 

わたしは改めて心を落ち着けようと深呼吸しながら

 

そっと眼をとじ

 

今感じていることを感じる

 

これまで選択肢があることも知らず

 

また選ぶにも選べず

 

さらには妥協し現状に甘んじ

 

こんにちまできた

 

しかし今

 

真に選びたかった路

 

そのチャンスが

 

すなわち本来の自身に還るそのときがやってきた

 

わたしは自身の真の願い

 

自身が自身でいられる地へ行く

 

わたしはくるりと振り返り

 

"今までありがとう!そしてさようなら"

 

と蜜柑の木に声をかけた

 

そして蜜柑の返答を待つことなく再度くるりと向き直り

 

こよなく愛している風景が待つその地へ

 

一歩づつ

 

力強く

 

後ろを振り向くことなく

 

歩き始めていった

 

 

陽子

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