もう逃げ場はない
完全に追い込まれた
ここから脱出する方法は
たったひとつ
散々嫌がり
拒絶してきた
ジョーカーカードを手にする
その存在は
わたしが望む未知の世界へいざなうナビゲーター
そのナビゲーターはこれまで
望む世界の真逆はどんなモノなのかとわたしに教えるかのごとく
数多くの試練を与えた
その色とりどりのマニアックな体験の数々に
ほとほと疲れる
そして二度と体感したくない
さらには感じたくないと
心地よい逃げ場を探し
安住の地を求めてきた
しかしジョーカーは
そろそろその妄想ゲームをクリアーしよう
そういいわたしにさらなる不快なスクリーンの数々を見せる
それはこれまで心地よかったと思い込んでいたもの
真の姿はこうだったんだと見せつける
それは薄々わかっていながら
知らないフリをし続けてきた
でも往生際がワルくガンコなわたしは
まだ逃げ場はあるといい
これまでどおり心地よいモノや環境を探し求め
こんにちまで来た
しかしそのズルズルと引き伸ばしてきたモノ
それが伸びに伸びて
パチン!と切れる寸前
そのことに氣がついた
のではなく
不可思議で滑稽なこの状況
誰がどうみてもこれはオカシイと認め得ない状況に
わたしは伸ばして伸ばし続けてきたモノを
手放し降参するその時だと悟る
そして
まいりました
と
コトバを添え
これまで握りしめていたモノを手放した
その手で
そっとジョーカーカードを手にする
そしてあたらしい世界を案内してくれるナビゲーターとともに
未知の路へと歩き出した
∞
陽子