ダーリン…
…
すてきなインビテーション・ラブレターをほんとうにありがとう
…
わたし…あの風景のおかげであなたを意識しはじめた
…
あれから都市へ旅をするときは必ず窓側の席をリザーブ
…
そしてスマホをスタンバイさせ…美しいあなたの姿をのがさずにおさめていった
…
あなたはそんなわたしの姿を知っているかのように数々のステキなメッセージをわたしに残してくれた
…
散歩中…朝の神秘的な霧もやにぽっかりと浮かんだあなた
…
夕暮れの美しいグラデーションのキャンバスに影絵のように映るあなた
…
旅や散歩だけじゃない
…
あなたは冷え込む真冬の朝に冬の妖精さんとともに自宅の窓へ向け…あなたの姿を繊細に映し出してくれた
…
そして最北を離れる直前…わたしは再度あなたからのナビゲーションを受けた
…
それは冷え込みが強い快晴の朝…いつもの散歩コースとして歩いていた
…
わたしは何となく行ったことのない所へ赴いてみようと思い奥深い森の中を探索した
…
そこは雪が凍って固まらないと決して行けない場所
…
どうしてこんなところを歩いているんだろうと感じながらもわたしは一歩一歩…路無き路を踏みしめた
…
そして坂道を上がっているとき…一種の予感がした
…
もしかしたらこの先にあなたがいるんじゃないかって
…
息を切らしながらもわたしはその予感という名の坂道を上りきった
…
そしたら…あなたがいた
…
春の予感を感じさせる青空の下…雪化粧を美しく身に纏ったあなた
…
わたしはスマホを持参していたからすぐにあなたを撮影…そして動画にもおさめた
…
引越し先でもあなたの姿やその時の空氣感を感じられるようにと
…
そんな"あなたと動植物とわたし"しか知らないヒミツのスポットへは2回ほど赴いた
…
あなたの姿はもちろん…わたしも三脚棒を使って一人よろこびのダンスをしながら…あなたとのツーショットをカメラにおさめた
…
行き来して感じたのが…ここへ赴くことはもう無い
…
なぜなら思い出のインビテーション・ラブレターのように"瞬間"でしか存在しないから
…
わたしはその思い出を旧ブログにしたためたあと…後日列車旅をした
…
わたしはいつも旅をするときは最北端の一つ手前の駅で乗降していた
…
でもこの時初めて始発と終着が同時に存在する"最北端の駅"から乗車しようと始発の列車に乗り込んだ
…
わたしは感慨深い思いで窓側の席に座り…あなたをおさめようといつものようにスマホをスタンバイ
…
その日は冷え込む朝…天候は晴れていながらも雲も広がっていた
…
わたしはあなたの姿が見られるかどうかドキドキしながらも記念にセルフィーも撮ろうと三脚を準備していた
…
でもわたしはちょっと油断していた
…
フト右側を見ると…すでにあなたがうかがいしれていた
…
わたしはあわててスマホをあなたへ向けカメラにおさめ続けた
…
そしていっときあなたが見えなくなった際わたしはスマホの写真アルバムをチェックした
…
するとあなたはわたしに再度ラブレターを残してくれた
…
それはあなたの姿とともにあなたの名前が印された彫刻とのツーショット
…
わたしはびっくりした…こんな彫刻が存在していたなんて知らなかったから
…
これは撮ろうと思っても列車のスピードの関係もある…撮影はおろか認識することでさえも困難に等しい
…
わたしはただあなたの美しい姿をおさめたい
…
そんな想いがあらたな奇跡を誕生させてくれた
…
そのあともわたしはあなたが見えなくなるまでずっと窓からあなたを見つめていた
…
美しいあなたは雲の影響で"鏡餅"のようなユーモラスな表情も見せていた
…
あなたは表情豊か…ずっと見ていても飽きない
…
厳しい冬…雪化粧をしっかりと身に纏っているあなた
…
その雪化粧が少しづつ落ち…春の訪れを感じさせてくれるあなた
…
短い夏…登山シーズンで完全な姿を見せてくれるあなた
…
秋を予感させる風のなか…ほんのりと色付くあなた
…
その全てが美しい
…
わたしは山に囲まれた地で生まれ育った
…
身の回りに当たり前に存在する山々…興味は全く無かった
…
でも最北に来てあなたという存在を知り…こんなにも美しい山が存在するなんてと驚いた
…
そしてあなたにどんどん惹かれていく自身にも驚いている
…
この列島には大小問わず自然豊かな山々が数多く存在している
…
その中で山が愛おしいと心の底からわたしが想えるのは…あなた
…
あなただけ…
…
あなたは山でありながら島でもある不思議な存在
…
そんなあなたは地球上で最も美しい
…
そして美しいながらも母なる海のような全てを包み込む温かさはもちろん…静かなる冷静さも兼ね備えている
…
あなたは全てを持っている
∞
陽子